変形性関節症とは?

変形性膝関節症

変形性関節症とは、加齢による関節の軟骨がすり減り変形を起こしてくる疾患です。
荷重関節(歩行するときに体重のかかる関節)と呼ばれる股関節、膝関節、足関節に起こることが多く、中でも変形性膝関節症は自覚症状を有する患者数は約1,000万人、X線上の診断による潜在患者数は3,000万人で骨折を含む要介護・要支援となる原因の第一位となっていると言われております。
(参考:H28年厚生労働省国民生活基礎調査(外部リンク)

膝の軟骨は膝の屈曲、荷重にかかる圧力に対するクッションの役割をしていて、損傷すると治癒することはありません。

変形性関節症の症状

初期では膝の動かし始めや階段の降りる時の疼痛、正座する際の疼痛などの症状ですが、変形が進んでくると膝の関節が伸びなくなりO脚になって立っているのも辛く痛みがあり、杖やシルバーカーを使用しないと歩くことができなくなります。

治療方法

治療としては保存的治療(手術をしない方法)と手術的治療があります。今回は保存的治療についてお話します。

内服治療

最近疼痛に対し様々な作用機序の薬が使われるようになり、局所の疼痛に効果のある非ステロイド性消炎鎮痛剤だけでなく、中枢神経系に作用し、痛みの伝達を防ぐ鎮痛剤などを使用して疼痛を軽減させることができます。しかし、あくまでも疼痛を緩和するだけで根本的な治療とは言えません。

関節注射

ヒアルロン酸は、関節軟骨や関節液中に含まれている物質で、関節の潤滑や弾性に寄与しています。変形性関節症ではこのヒアルロン酸が薄まっています。そこで、関節内にヒアルロン酸製剤を注入することにより膝の滑りが良くなり、痛みを抑えることができます。一般的には高分子でできているヒアルロン酸を2週間から4週間に1回膝関節内に注射します。

最近では血液の中で傷を治す働きを持つ血小板を用いた治療も行われるようになってきております。この血小板を高濃度に濃縮し活性化させたものがPRP(platelet Rich Plasma )と言われており、多くの成長因子が含まれていて膝関節内に注射することによって細胞を活性化させ、炎症を抑え疼痛を軽減させるといわれております。
詳しくは『再生医療の項目』を参照してください。

理学療法

膝関節の痛みは変形によって起こるものだけではありません。大腿四頭筋の筋力低下による膝関節の負担増大によって起こることもあります。

また、姿勢の崩れや、歩き方等の身体の使い方の癖などで膝周囲における筋肉のアンバランスを引き起こしたり、膝関節の間違った動きを引き起こす事で痛みを誘発していることもあります。これらの原因は体幹や股関節、足関節など膝以外にも原因があることの方が多いため、膝だけのアプローチではなかなかよくなってきません。

当院では外来通院リハビリも積極的に行っており、膝周囲筋力の強化や筋肉の緊張をほぐすだけでなく、姿勢の矯正、歩行の改善のために体幹や臀部、足部のエクササイズを行っています。これらにより変形した膝関節の負担を和らげ、疼痛を軽減させることが期待できます。

このように膝の変形の初期では手術をしないで疼痛を改善させる方法もあります。当院は保存的治療から手術的治療までそれぞれの症状、変形の程度に合わせた治療を行っております。膝の症状でお悩みの方は一度膝の専門医まで御相談ください。